チャンスを与え、パワーを引き出せ

 
麗沢大学教授 大橋 照枝

「日本の秘密兵器は女性」とフォーリー元駐日米国大使が言ったとか。確かに1989年以来、女性の大学進学率は男性を上回り、能力、意欲ともに充実している。ところが日本女性の国際的、国内的な地位は低く、国連開発計画が毎年発行するジェンダー・エンパワーメント測定(女性の経済、政治、社会への進出度と地位)では日本女性は97年の世界34位から2000年の41位へと後退した。また75年の国際婦人年以来、毎年増え続けてきた女性の労働力人口も99年には前年より12万人も減少。不況も災いし女性の社会進出は頭打ち状態。

これでは女性への教育投資も活きないし、国家的損失である。そこをフォーリー大使が、日本にはまだ活かされていない女性能力が潜在していると指摘したのだ。不況だからこそ、女性の潜在能力を活かし一発逆転のチャンスとすべきなのに閉塞(へいそく)感に陥る男性社会は気持ちの余裕も失っているようだ。では女性にはどんな能力が潜在しているのか。

キャリアをめざす女性情報誌である日経ウーマンがその年に活躍しヒットした女性を選んだ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2001」によると、トップは児童書「ハリー・ポッター」シリーズを累計290万部も売った翻訳・出版社の松岡佑子さん。松岡さんは夫の死後、社員3人の赤字の出版会社を引き継ぎ、英国で出会ったハリー・ポッターシリーズに感動し、翻訳権を得たいと、熱意と英語力で大手出版3社との競合に勝った。 2位は極道の妻から弁護士になり、「だからあなたも生き抜いて」が200万部のヒットとなった大平光代さん。大平さんも体当たりの人生体験が人々の感動を呼んでいる。このように組織に頼らず、過酷な人生を切り開いて勝利するのも女性の強みで、男性社会の硬直した組織に安住している男性にはまねのできないパワーが出せるという例だ。

また、ウーマン・オブ・ザ・イヤーのヒットメーカー部門では、組織の中にいても商品の買い手、使い 手の目を失わず、逆に男性を説得してヒットを出している女性もいる。
ワコールの「マシュマロブラ」を開発した若代祥世さん、セガトイズのペットロボツト「プーチ」の開発者の一人原田美香子さんらだ。男性もかたくなに組織にいる既得権を守ろうとせずに女性にチャンスを与えてはどうか。21世紀は男性でも女性でもなく個の時代。男女が対等にフェアープレーできる環境を整えないと日本丸の沈没は早い。

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